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古事記 黄泉の国【イザナミの死】~6つのミステリー~

どうも サムです!

神生みでは、イザナミは、火の神様 ヒノカグチの出産による大火傷で死んでしまいました。
今回は、最愛の妻 イザナミを復活させようとイザナギが黄泉の国よみのくににて奮起します。
望み通り、蘇らせることが出来るのか!?
ハラハラドキドキする物語です。

前回の神産みを まだ見ていない人はコチラ↓

黄泉の国よみのくにのあらすじを説明します。
それに加えて、黄泉の国に隠されたミステリーについても、ユルっと紹介します。

古事記 黄泉の国(あらすじ)

イザナギは、最愛の妻イザナミを失ったことが受け入れられませんでした。

もう一度、イザナミに会いたい。。。

そういう気持ちが抑えきれないイザナギは、イザナミを連れ戻すため、死者の住む世界の黄泉の国よみのくにに行き、黄泉の国へと続く黄泉比良坂よもつひらさかを駆け下りました。
坂の先には、黄泉の国御殿ごでんがあり、その入口は大きな岩の扉で固く閉ざされていました。
その岩の扉を叩きながら、
「美しき我が妻よ。まだ国造りは終わっていない。一緒に帰って、また国を造ろう!」
とイザナミに呼び掛けました。

すると、扉の向こう側から
「私のためにこんな所まで来てくれたなんて。
 でも、残念なことに、私は共食きょうしょくして、黄泉の国の住人になってしまったので、あなたの元に帰れません。」
と、イザナミが返事しました。

共食きょうしょくとは、黄泉の国の物を食べることで、それは黄泉の国の仲間(=死者)となることを意味し、元の地上には戻れないことを意味します。

とはいえ、イザナミもイザナギと会いたいし、国造りの再開を望んでいるため、

「せっかく、あなたが来てくれたので、なんとか帰れるよう黄泉の国よみのくにの神々に相談してきます。その間、決して中に入って私の姿を見ないで下さい。」

と言い残し、イザナミは黄泉の国の神々と交渉へと向かいました。
その間、イザナギは、扉の前で待つことになりました。

しかし、待てとくらせど、イザナミは戻ってこない。。。

待ちきれなくなったイザナギは、イザナミとの約束を破り扉を開き、中に入ってイザナミを探しに行ってしまいました。

中に入ってみると、真っ暗で何も見えません。
イザナギは、髪を束ねていたくしの太い歯を一本折って、それに火を灯し、その火をかざしながら奥へと進んでいきました。

すると、イザナギは何か横たわっているものを見つけました。
よ~く見てみると、それは、腐敗してウジ虫にまみれ醜く朽ち果てたイザナミの姿でした。
しかも、イザナミの体には、恐ろしい八柱の雷神がへばり付いていました。

変わり果てたイザナミの姿にイザナギは、ビックリして「うぁ!」と声を出してしまいました。

醜い姿を見られたイザナミは、

「私に恥をかかせたな!」

と怒り心頭です。

ブチギレしたイザナミは、黄泉醜女ヨモツシコメにイザナギを捕まえることを命じました。

ブチ切れしたイザナミ(イメージ図)

イザナギは、捕まってたまるか!と一目散に逃げだしました。

しかし、追いつかれそうになったため、イザナギは、髪に巻き付けていた黒御縵くろみかづらという髪飾りを投げました。
すると、髪飾りはたちまち山ブドウのツルとなって実を付け、醜女シコメたちは、そのブドウに食らい付きました。

醜女がブドウを食っている間に、イザナギは逃げ延びるつもりでしたが、ものすごい勢いでブドウを食い尽くすので、すぐに醜女シコメたちは背後まで迫ってきました。

今度は、右の角髪みずらの爪櫛を折り取り、背後に投げつけました。
すると、その櫛がタケノコとなって道を塞ぎました。
醜女シコメはタケノコに食らいつき、その間にイザナギは逃げ出しました。

イザナミは、頼りにならない醜女に代わって、自分の屍にへばり付いていた八柱の雷神と1,500もの軍勢をイザナギに差し向けました。

イザナギは、腰に差していた十拳剣とつかのつるぎを抜いて、後ろ手で剣を振りながら走りました。
ようやく、黄泉の国と現世の境目にあたる黄泉比良坂よもつひらさかのふもとまで来ました。
その境目の所に桃の木が立っており、イザナギはとっさに桃の実を3つ取って、追手に投げつけると、追手はたちまち退散しました。

投げつけるイザナギ(イメージ図)

桃の実に助けられたイザナギは桃の木に

「私を助けたように、葦原中国あしはらのなかつくにに住む青人草あおひとくさ(人間)が苦しみにあっているとき、同じように助けてやってくれ!」

と告げ、

桃の実に、意富加牟豆美命おおかむずみのみことと名前を付けました。

桃の実に助けられ、ホッとしたのも束の間、今度は、イザナミ自身が追いかけてきて来て、イザナギの背後まで迫っていました。

イザナギは千引せんびきの岩*1と言われる大きな岩で黄泉比良坂よもつひらさかを塞ぎ、なんとか逃げ延びることに成功しました。
*1:1,000人がかりでようやく動かせる岩

イザナギとイザナミは、千引の岩を挟んで向き合うと、イザナギが「これ限り夫婦の契りを解く!」と
離婚宣言の呪文を言いました。

すると、イザナミは、
「愛しい人よ。あなたがそのようにするのであれば、私は、毎日、あなたの国の人々を1,000人絞め殺します。」
と、言いました。

それに対し、イザナギは、
「愛しい人よ。私は、毎日、1,500の産屋を建てます。」
と宣言しました。

こうして、この国では、毎日1,000人の人が死に、毎日1,500人の人が生まれることとなりました。

 

あらすじ まとめ

  • イザナギ 黄泉の国へ迎えに行く
  • イザナミと扉越しに会話する
  • イザナミが生き返るまで決して中を覗かないよう約束する
  • イザナミ黄泉の国の神と交渉しに行く
  • イザナギ イザナミが帰ってくるのを待つ
  • イザナギ 待ちきれず黄泉の国の中に入る
  • 腐敗したイザナミを発見する
  • イザナミ ガチ切れ
  • イザナギは、醜女、雷神 そして イザナミに追いかけられる
  • イザナギ 千引の岩で道を防いで逃げ切る
  • イザナギ が離婚宣言をする
  • イザナミ 毎日 1000人 殺す 殺人予告をする
  • イザナギ 毎日 1500人を生むことを予告する

 

古事記 黄泉の国 ~6つのミステリー~

なんとも壮絶な夫婦喧嘩からと離婚でした。
人間の寿命があるのは、イザナミが毎日1,000人殺すと宣言したことが由来とも言われており、人間としては、スゴイとばっちりを受けた感じですね (;^_^A

黄泉の国よみのくにでの物語に隠されたミステリーについて、サクッと紹介します。

1. 黄泉の国の入り口 黄泉比良坂の場所はどこにある?

揖屋神社

イザナギは、黄泉比良坂よもつひらさかを下って黄泉の国よみのくにに行ったとされています。
この、黄泉比良坂とされる場所について、サクッと紹介します。

古事記では、「黄泉比良坂は、出雲国の伊賦夜坂いふやさかという」という記述があり、実際、島根県東出雲町には揖屋いうや神社があって、ここが黄泉比良坂の場所との伝承があります。

ちなみに、この揖屋いうや神社の近くには千引せんびきの岩とされる岩もあり、雰囲気のある場所です。

揖屋神社の近くにある千引の岩

2.黄泉の国とは どんなところ?

古事記に書かれている黄泉の国よみのくには、色んな解釈がされております。
その中でも有名な2つの説をサクッと紹介します。

◆黄泉の国は死後の世界?

黄泉の国よみのくには、死んだ者が行く世界として捉えた解釈です。
一番わかりやすい解釈です。

◆黄泉の国は横穴式石室?

黄泉の国は、横穴式石室よこあなしきせきしつを表したとされる解釈です。

横穴式石室の概要図

黄泉の国よみのくには、ひつぎを安置する玄室げんしつ
黄泉比良坂よもつひらさかは、玄室に向かう通路
千引せんびきの岩は、入口を塞ぐ岩

確かに、黄泉の国 横穴式石室 を表している気がします。

3. 黄泉の国と比婆山は別の場所?

前回の神生みの物語の中では、イザナミの亡骸は比婆山ひばやまに埋葬したとなっているのに、黄泉の国よみのくにの中で腐敗したイザナミがいたりして、黄泉の国 比婆山は同じ場所のように思ってしまうこともあります。

神生みの物語はコチラ↓

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しかし、物語の流れ上、黄泉の国比婆山は別の場所のものとして、記載されていますので、イザナミの埋葬場所は比婆山で魂が黄泉の国に行ったとされています。

これは、遺骨はお墓にあるけど、家の仏壇にも手を合わせる 現在の日本の仏教の宗教観とも共通していますね。

ちなみに、神様には、荒魂あらみたま和魂にぎみたま幸魂さきみたま奇魂くしみたま4つの魂宿やどっているとされています。

4. 一つ火の意味は不吉

 

黄泉の国よみのくにでイザナギが一つ火を灯したことで、変わり果てたイザナミを見つけてしまいました。

そのため、暗闇で一つだけ火を灯すことは不吉・縁起が悪いとされるようになりました。

今でも神棚かみだな仏壇ぶつだんなどに備えるローソクは、一つ火にならない様、原則二つのローソク火を灯します。

因みに、コックリさんをする時は、一つ火でやることが主流だそうです。
ガタガタ (゚Д゚;) ブルブル

それにしても、火が生まれたことによりイザナミが死んでしまい、火を灯すことによってイザナミの遺体を見てしまい、なんとも火に振り回された物語です。

そーいえば、災い の には、火がありますね。
もしかしたら、 という漢字の成り立ちは、
黄泉の国の物語から来ているかもしれませんね。

そう言われると、火の上にある3つの "< "は、
イザナギとイザナミとヒノカグチの三柱を表している様に思えてきます。

5. 古事記での人間の起源は?

古事記で始めて人間について記述があるのは、イザナギが桃の実に
葦原中国あしはらのなかつくにに住む青人草あおひとくさ(人間)が苦しんでいるとき、助けてあげなさい。」
と頼むシーンです。

唐突に人間について記述されていますが、古事記では、人間の誕生や起源については一切触れられていません。

聖書など他の神話では人間の起源はもちろん、宇宙の始まりについても書かれていることが多いですが、古事記に関しては、宇宙の起源についても明言されていません。

その辺を比べると、他の神話と比べ日本の神話は珍しいのです。

6. 救世主は桃

当時は、桃には強い霊力が宿っていると信じられていました。

また、古事記では、この桃を投げて悪霊(醜女しこめや八柱の雷神)を追い払うことができました。
それが、現代では桃が豆になって、節分の日の豆まきになったと言われています。

あと、桃を投げる前、後ろ手で剣を振っていましたが、これは相手を呪う行為です。
後ろ手だけでなく、普段と逆のことをすることが、呪いの行為らしいです。
ガタガタ (((;゚;Д;゚;)))) ブルブル


日本で初めての夫婦は、壮絶な喧嘩の末、結果的に離婚という形になりました。
ですが、お互い「愛しい人よ」と言ってから別れを告げることから、イザナギとイザナミの愛情の深さが伝わってきます。
キャー (´艸`*) ロマンチック~

イザナミが毎日1,000人殺すと宣言したことが、人間の寿命の由来となります。
それに対し、イザナギは、毎日1,500人の人を生むと宣言することで、この国の人口は毎日500人ずつ増える = 国が繁栄していくとを示しているとされています。
残念ながら、現代の日本は少子化により毎年人口が減っており、古事記での意味合いだと国の衰退となります。
しかし、そんことにならない様に、今、私たちが力を合わせて食い止める努力が必要で、食い止める術は、古事記に隠されているかもしれませんね。

日本の情勢を取り入れた素晴らしい締めくくりやわ
なんか頭良さそう (´艸`*) インテリ風

 

 

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