どうも サムです!
今回は、古事記 神生みのあらすじ と 神生みにまつわるミステリーを紹介します。
題名のとおり、神を生んでいくお話ですが、とにかく、生まれる神の数がスゴイ!
日本の母 イザナミの出産ラッシュです。
前回の 国産み の話しを まだ見ていない人はコチラ↓
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古事記 国生み【イザナギとイザナミ】
目次
古事記 神生み(あらすじ)
イザナギとイザナミは、大八島国(日本)を守る神々も必要と考え、今度はたくさんの神様、八百万の神々を生み始めます。
まず、最初に 大事忍男神(大きな事を成し遂げたことを神格化した神)を生みました。
そして、
・石土毘古神(岩や土の神)
・石巣比売神(岩や砂の神)
・大戸日別神(不明)
・ 天之吹男神(屋根の神)
・ 大屋毘古神(家の神)
・ 風木津別之忍男神(風の神)
・ 大綿津見神(海の神)
・ 速秋津日子神(港の神)
・速秋津比売神(港の神)
を生みました。
速秋津日子神 と 速秋津比売神 の二柱の神からも神が生まれした。
この二柱は水に関わる神であることから、生まれてくる神々も水に関わる神です。
イザナギとイザナミは早くも孫ができ、お爺ちゃん・お婆ちゃんになりました。
イザナギとイザナミは、まだまだ、神々を産みます。
・志那都比古神(風の神)
・久久能智神(木の神)
・大山津見神(山の神)
・鹿屋野比売神(野の神):別名を野椎神といいます。
また、大山津見神 と 野椎神 からも神々が生まれました。
・天之狭土神(土の神)
・国之狭土神(土の神)
・天之狭霧神(霧の神)
・国之狭霧神(霧の神)
・天之闇戸神(谷の神)
・国之闇戸神(谷の神)
・大戸惑子神(不明)
・大戸惑女神(不明)
イザナギとイザナミは、さらに孫が増えました。
そして、イザナギとイザナミ は、まだまだ、神々を生んでいきます。
・鳥之石楠船神(船の神) 別名:天鳥船
・大宜都比売神(穀物の神)
・火之迦具土神(火の神)
この最後の 火の神である火之迦具土神を生んだ時に、イザナミは、女陰(女性器)に大火傷を負い、病の床に臥しました。
イザナミは、床に臥せ苦しみの中、嘔吐や糞尿からも様々な神が生まれました。
・金山毘古神(鉱山の神)
・金山毘売神(鉱山の神)
・波邇夜須毘古神(土の神)
・波邇夜須毘売神(土の神)
・弥都波能売神(水の神)
・和久産巣日神(生成の神)
大火傷の影響は大きく、イザナミは息を引き取りました。
イザナギは、
「愛しい妻の命を1人の子のために失わなければならないとは。」
と、周りの目も気にせず嘆き悲しみ、あまりにも涙があふれ出たため、香久山の畝尾(奈良県)の木本に泣沢女神が生まれました。
イザナギは、イザナミの亡骸を出雲国と伯伎国の境にある比婆之山に葬りました。
それでも、イザナギの悲しみは消えず、イザナミの死因となった火之迦具土神に対しての怒りが収まりません。
ついに、イザナギは、腰に付けていた十拳剣を抜いて、火之迦具土神の首を斬りました。
十拳剣とは、拳、10個分の長さの剣のことです。
火之迦具土神を斬った十拳剣は、特別に 天之尾羽張 別名 伊都之尾羽張 と名前が付いています。
首を刎ねられた火之迦具土神の首から血が吹き出し、そこから新しい神々が生まれ、十拳剣から滴り落ちる血からも神々が生まれました。
【十拳剣から生まれた神々】
・石拆神
・根拆神
・石筒之男神
・甕速日神
・樋速日神
・建御雷之男神 別名:建布都神 又は 豊布都神
・闇淤加美神
・闇御津羽神
【火之迦具土神の体から生まれた神々】
・正鹿山津見神
・淤縢山津見神
・奥山津見神
・闇山津見神
・志芸山津見神
・羽山津見神
・原山津見神
・戸山津見神
あらすじ まとめ
- イザナミ たくさんの神々を生む
- 最後に火の神 火之迦具土神を生む
- 女陰に大火傷を負う
- 火傷が原因でイザナミは死んでしまう
- イザナミの遺体を比婆之山に埋葬する
- イザナギの怒りは収まらず、火之迦具土神の首を刎ねる
古事記 神生み(謎と真相の解説)
最後は、イザナミが死んでしまい、死因となった子どもの火之迦具土神は、父親のイザナギに殺されてしまう、なんとも悲しい結末となりました。
それにしても、さすが、八百万の神々がいると言われる日本、メッチャ多くの神々を生みましたね。(*‘∀‘)
ただ多すぎて、山の神や水の神など、早くもキャラが かぶった神もいますね。
さて、今回の神生みに隠されたミステリーをサクッと紹介します。
1.イザナミの死
火の神様 火之迦具土神を生んだ時に負った火傷で死んでしまったイザナミ。
出産は、命がけの大変な大仕事であることを古事記からも読み取れるエピソードですね。
また、火はとても便利なものである一方、扱いを誤ると大変なことになることを表現しています。
2.イザナミは農作の母
イザナミが火傷で苦しんでいるとき、糞尿から生まれた神々は、農作物の繁栄を表しています。
<イザナミの糞尿から生まれた神>
・金山毘古神(鉱山の神)
・金山毘売神(鉱山の神)
・波邇夜須毘古神(土の神)
・波邇夜須毘売神(土の神)
・弥都波能売神(水の神)
・和久産巣日神(生成の神)
「鉱山」から鉄製の農業用品を製造し、その農業用品で「土」を耕し、土に「水」を与え、作物を「生成」します。
ちなみに、和久産巣日神、後に穀物の神である豊宇気毘売神を産みます。
この豊宇気毘売神は、最高神 天照大御神 の食事を司る神様として、伊勢神宮の外宮に祭られます。
3.十拳剣は火山の噴火 ヒノカグチは剣の製造方法
神生みのお話なので、たくさんの神々が生まれましたが、その中でも十拳剣から生まれた神々は、
火山の噴火を表していると言われています。
<火山の噴火>
石拆神 : マグマが岩を割いて
根拆神 : 根を割いて
石筒之男神 : 岩の隙間から溢れ出て
甕速日神 ・ 樋速日神 : 火が物凄い勢いで吹き出し
建御雷之男神 : 雷(火山雷)が鳴り
闇淤加美神 ・ 闇御津羽神 : 煙が黙々と真っ暗になる。
また、火之迦具土神の体から生まれた神々は、全て山の神様でまさに火山を表しています。
他にも十拳剣から生まれた神々は、剣を作る工程を表しているとも言われており、火之迦具土神の体から生まれた神々が全部山に関係しているのは、剣の原料となる鉄を掘り出すための鉱山を表しているとも言われています。
<剣の製造工程>
石拆神 : 岩を割いて
根拆神 : 根を割いて
石筒之男神 : 岩を取り出して
甕速日神 ・ 樋速日神 : 火で溶かして
建御雷之男神 : 叩いて火花(雷)が出て、
闇淤加美神 ・ 闇御津羽神 : 水で冷やす。
4.イザナミの墓 比婆山は何処にある?
イザナギは、イザナミの亡骸を比婆之山に埋葬したと古事記で書かれていますが、その場所は何処にあるのか?
イザナミの墓と伝承されている場所が複数ありますが、その中でも有名な2ヵ所をサクッと紹介します。
◆広島県庄原市の比婆山
古事記には、出雲国と伯伎国の境にある比婆之山に葬ったとの記載があり、その記述に合う場所にあるため、ここがイザナミのお墓ではと言われています。
また、山の名前が比婆山なので、古事記の比婆之山とも合います。
◆島根県安来市の比婆山
こちらも、古事記記載にある出雲国と伯伎国の境に位置し、山の名前が比婆山となっているため、有力な候補とされています。
ちなみに、この比婆山の近くに美古登村(みこと村)と言う村があったようです。
この村の名前を由来は、イザナミノミコトからとも言われています。
5.イザナミは火葬された?
実は、比婆之山には、イザナミのお墓の場所を示すだけではなく、埋葬方法まで示しているのではと考えられます。
比婆之山の "ひば" は、火場の意味も含まれており、イザナミは火葬されたと考えられます。
また、火場は、火葬だけでなく火を扱う場所を示しており、火を扱う場所 = 製鉄場 ではないか言われております。
島県庄原市の比婆山の近くには、製鉄場跡(たたらば跡)があるので、説得力はありますね。
そういえば、イザナミの糞尿からは鉱山の神が生まれ、イザナミの死に関する十拳剣から生まれた神も、鉄に関わる剣の製造工程を示していたり、イザナミと鉄は、なにか深い縁がありそうですね。
6.イザナギの涙から生まれた泣沢女神
イザナミの死の悲しみからイザナギが泣いて生まれた泣沢女神は、泣き女のことを示していると考えられます。
泣き女とは、葬式の際、故人の死を悼んで大声で泣き叫ぶ役割を請け負う女性のことを言います。
これは、日本でも昭和初期までかすかに残っていた風習です。
葬儀で泣き叫ぶことで、死者の魂を鎮めたり、魂を呼び戻すなどと 言い伝えられていたことから、このような風習があったとされています。
また、泣き叫ぶことは、この世とあの世を結ぶ力があるとも言い伝えられ、この後のイザナギが黄泉の国へ行く布石とも捉えられます。
泣沢女神は、奈良県橿原市にある畝傍都多本神社に鎮座しております。
この神社は、ご神体が井戸で、とても珍しい神社です。
たくさんの神々が生まれ、日本が賑やかになっていく中、日本の母 イザナミが亡くなる、凄まじいお話でしたね。
それにしても、神様って、出産だけでなく、吐しゃ物とか血からとか とにかく色んな形で生まれてくるんですね。
多神教ならではって感じです (*‘∀‘)