古事記

古事記 国生み【イザナギとイザナミ】

どうも サムです!

 

別天神ことあまつかみ神世七代かみよのななよと呼ばれる、特別な神々が生まれました。
その神世七代かみよのななよの最後に生まれた、伊邪那岐神イザナギ ・伊邪那美神イザナミが 、日本の国土をつくっていく、壮大なお話しのあらすじ と それに関わるミステリーをユルっとご紹介します。

 

前回の 天地開闢てんちかいびゃく の話しを まだ見ていない人はコチラ↓

古事記 国生み【イザナギとイザナミ】(あらすじ)

今回は、イザナギ(男神)とイザナミ(女神)が、我が国 日本をつくる物語です。
この記事では、親しみやすくイザナギとイザナミの表記はカタカナにします。

造化三神の三柱の神が、日本の国土について会議をしています。

会議の結果、イザナギとイザナミを呼び出し、
「地上は、いまだ水に浮かぶ脂のように浮遊しているばかりなので、それを固めて国土を整えよなさい。」
と、地上に国をつくることを命じました。

とはいえ、素手で国を造る訳には行かないので、イザナギとイザナミに天の沼矛あまのぬぼこを手渡しました。

イザナギとイザナミは、天と地の間に浮かんでいる天の浮橋あめのうきはしに立って、そこから海に天の沼矛あまのぬぼこを下ろし、海水を「こおろ、こおろ」とかき鳴らし、天の沼矛を引き上げました。
すると、天の沼矛あまのぬぼこの先から海水がしたたり落ちると、塩が固まって島ができました。

この島を 塩がおのずと固まったので、 淤能碁呂島おのごろしま(オノゴロ島)と名付けました。

また、このオノゴロ島が出来たときの音の「こおろこおろ」が名前の由来とも言われています。

そして、イザナギとイザナミは、オノゴロ島に降立ち、天之御柱あめのみはしらという、とにかく神聖な柱を建て、さらに八尋殿やひろどのという大きな神殿を建てました。

 

すると、イザナギは以前から気になっていたことをイザナミに聞きました。

イザナギ:
「あなたの体はどのように出来ていますか?」

イザナミ:
「私の体は、成り成りて、成り切らないところが一か所あります。」

イザナギ:
「俺の体は、成り成りて、成り余ったところが一か所あります。」

股間のお話 (≧▽≦) キャー

イザナギ:
「ならば、俺の余ったところを、あなたの成り切らないところを塞いで国を生もう。」

 

イザナギのストレートな提案に、なんとイザナミは賛成しました。

国を生む前に、イザナギとイザナミは、結婚することにして、結婚式を挙げることを決めました。
日本初の結婚式は、なんともアッサリとしたものでした。

まず、イザナギが天之御柱あめのみはしらを左回りで回り、イザナミは右回りで回って、二人が出会ったところで、

イザナミ:
「あなたは、なんてイイ男なんでしょう。」

イザナギ:
「あなたは、なんてイイ女なんでしょう。」

と、女神であるイザナミから声を掛け、その後に男神のイザナギが声を掛けました。

柱の周りをまわって出会ったところで声を掛け合う、とてもシンプルな結婚式が終えた後、神殿の神殿の寝床でまぐあい、イザナミはスグに身籠りました。

 

ところが、最初に生まれた子は、ヒルの様に骨がなくフニャフニャで手や足がないことから、水蛭子ヒルコと名付けられました。
イザナギとイザナミは、水蛭子ヒルコを小さなあしの船に乗せ海に流しました。
次に生まれた子も、泡のような不完全な子として生まれ、淡島アワシマと名付けられました。
この水蛭子ヒルコ淡島アワシマは、子どもの数に入れませんでした。

 

イザナギとイザナミは、健康な子どもが生まれてこないことに悩み、別天津神ことあまつかみに相談するため、高天原たかまのはらに戻ることにしました。

高天原たかまのはらの神々は、太占ふとまにで真相を調べた結果、結婚式で女性であるイザナミから声を掛けたのが良くなかったことが判明しました。
ちなみに、太占ふとまにとは、亀の甲羅や牡鹿の骨を焼いて、その甲羅や骨に入ったヒビ割れの形で吉凶を判断する占いのことです。

イザナギとイザナミは、高天原から戻ってきて、結婚式を仕切り直すことにしました。
さっきと同じように天之御柱あめのみはしらを回って、

 

イザナギ:
「あなたは、なんてイイ女なんでしょう。」

イザナミ:
「あなたは、なんてイイ男なんでしょう。」

と、今度は、アドバイスに従って、男神のイザナギから声を掛けました。

こうして、ようやく元気な子を生むことが出来ました。
一番初めに生まれたのは、 淡道穂狭別あわじのほのさわけのしま(淡路島)でした。
次に、体は1つで顔が4つある 伊予二名島(いよのふたなのしま四国)が生まれました。
それぞれの顔にも名前があり、伊予国いよのくに(愛媛県)は愛比売えひめ讃岐国さぬきのくに(香川県)は飯依比古いひよりひこ粟国あわのくに(徳島県)は大宜都比売おおげつひめ土左国とさのくに(高知県)は建依別たけよりわけと名付けました。

次に、 隠伎三子島おきのみつごのしま(隠岐おきの島)が生まれました。別名、天之忍許呂別あめのおしころわけと言います。

次に、筑紫島つくしのしま(九州)が生まれました。
この子も体は1つで顔が4つあったので、それぞれに、 筑紫国つくしのくに(福岡県)、豊国とよのくに(大分県)、肥国ひのくに(佐賀県,長崎県,熊本県北部)、
熊曽国くまそのくに(熊本県南部と鹿児島県) と名前を付けました。

次に、 伊岐島いきのしま(長野県 壱岐島いきのしま)、津島つしま(対馬)、佐度島さどのしま(佐渡島)。
そして、大倭豊秋津島おおやまととよあきづしま(本州)を生みました。

このように、先に八つの島を生んだことから、日本のことを大八島国おおやしまのくにと呼ぶこととなります。

さらに、 吉備児島きびのこしま(岡山県 児島半島)、小豆島あずきしま(香川県 小豆島しょうどしま)、大島おおしま(山口県 屋代島)、女島おみなしま(大分県 姫島)、知訶島ちかのしま(五島列島)、両児島ふたごのしま(男女群島) の六島を生み、ついに、日本の国土が完成しました。

 

あらすじ まとめ

  • イザナギとイザナミに天の沼矛あまのぬぼこでオノゴロ島をつくる
  • 結婚式を挙げる(1回目) 
  • 不完全な子ども水蛭子ヒルコ淡島アワシマが生まれる
  • 結婚式を挙げる(2回目)
  • 淡路島が生まれる (初の子としてカウント)
  • 四国、九州、本州等が生まれ、日本の国土が完成

古事記 国生み【イザナギとイザナミ】(5つのミステリーと解説)

今の日本があるのは、イザナミの出産のおかげなのですね。

ただ、当時はまだ、北海道と沖縄は日本の国土ではなかったので、この2つの生まれた描写はありません。

ちなみに、当時の日本は、北海道:未開の地 沖縄:海外の国 という認識だったようです。

さて、この国生みのお話の中に隠されたミステリーをサクッとご紹介します。

1.始まりの島 オノゴロ島はどこ?

日本で初めて出来た島は、オノゴロ島です。
このオノゴロ島、空想の島なのか実在する島なのか、はっきりと分かっていない、とても謎の多い島です。

古事記の下巻に登場する 仁徳天皇にんとくてんのうは、こんな歌を詠んでいます。
「我が国みれば淡島、オノゴロ島、檳榔あじまさの島も見ゆ 放つ島見ゆ」
こんな歌を詠んだということは、オノゴロ島はあった!と思ってしまいますね。
そんな、オノゴロ島、実在すると仮定すると、いったい何処にあるのか、いろんな説があるので、サクッと紹介します。

仁徳天皇

淡路島説(オノゴロ島)

淡路島がオノゴロ島と言われる説です。
淡路島には、おのころ島神社とい言う神社があり、その神社の近くに天の浮橋あめのうきはしとされる場所もあります。
さらに、イザナギとイザナミを祀っている伊弉諾神宮いざなぎじんぐうと言う神社もあります。

 

ただ、古事記ではオノゴロ島が生まれてから淡路島が生まれていますので、オノゴロ島と淡路島は別々の島と考えられますが、当時は海面が高く おのころ島神社 の周辺は海で覆われいて、昔は、おのころ島神社 自身が島となり、淡路島とは別の島と扱いだったかもしれません。
言われてみると、おのころ島神社を遠目から見ると1つの島のように見えます。

遠くから見たおのころ島

少し話が逸れますが、神社によくある橋(太鼓橋)は、天の浮橋あめのうきはしを表しているのでは、と個人的に思っています。

神社にある橋 = 太鼓橋

沼島説(オノゴロ島)

沼島ぬしまとは淡路島の南東にある小さな島です。
沼島には自凝神社おのころじんじゃという神社があり、この神社は山全体がご神体とされており、古代から伝わる自然崇拝が根強く伝わっている印象です。
また、沼島には上立神岩かみたてがみいわという、高さ約30メートルの鋭く尖った岩があり、この岩は、イザナギとイザナミが立てた天之御柱あめのみはしらとも言われております。

上立神岩@沼島

沼島ぬしまの「ぬ」は、古来、美しいたまと言う意味がありました。
昔のたまとは勾玉まがたまを示すこともあり、勾玉まがたまの特徴的な形は胎児を表しているとも言われており、始まりの島に相応しい気もします。
ちなみに、沼島の形もなんとなく、胎児の様な形をしていますね。

左:胎児 右:沼島

小呂島説(オノゴロ島)

小呂島おろのしまは九州の玄界灘げんかいなだに位置する島です。
小呂島は、昔、 淤呂島おろのしまと示し、古事記で記載されている淤能碁呂島おのごろしまの表記に似ています。
福岡県の桜井二見ヶ浦さくらいふたみがうらという夫婦岩があり、夫婦岩に岩の間から小呂島が見え、この夫婦岩はイザナギとイザナミを祀っていてます。
また、夏至げしの日には、この夫婦岩の間に夕日が沈んでいく、とても神秘的な場所に位置した島です。

また、先ほど紹介した仁徳天皇にんとくてんのうの歌にある、檳榔あじまさの島 の”あじまさ”とは、ビロウという植物の古い呼び名です。
小呂島おろのしまには、このビロウが生息しているため、檳榔あじまさの島=小呂島おろのしまと言う意見もあります。

ビロウ

2. 天の沼矛って何?

オノゴロ島は、何処にあるのかを探すのは、いろんな説があり特定するのは難しいです。
しかし、オノゴロ島を作るのは 超簡単!

1.天の沼矛あまのぬぼこを海に入れる。
2.かき混ぜる。 

たったのこれだけ。

イザナギとイザナミが凄いのか、天の沼矛が凄いのかはさておき。

かき混ぜるだけなら、ほこでなくても棒で良いじゃんと思いませんか?
だって、ほこのように先が尖がったマドラーなんて見たことないし、尖がってない方が混ぜやすいし。

実は、理由があり、矛にしたのは何かを刺すためにと考えられます。
何を刺すかと言うと、地殻です。
天の沼矛あまのぬぼこで地殻を刺し、海底火山を噴火させ島つくることを示しており、日本列島が出来た自然現象を神話化にしたものと考えられます。

 

最近でも、小笠原諸島おがさわらしょとうにある西之島にしのしまが海底火山の噴火により、新しく島ができ、ニュースにもなりましたね。
西之島の海底火山が超大規模版になると日本列島が出来ると思えば想像しやすいですね。

 

ただ、 日本列島が出来始めたのは約2000万年前 と言われており、当時の人が、この自然現象を知っていたかは謎です。

日本列島の歴史

もしかしたら、オノゴロ島は、海底火山の噴火で初めて出来た小さな島であり、現在は、他の島などの一部となっていて、オノゴロ島の特定は難しいかもしれません。
だとすると、なぜ、当時の人は、日本列島の出来る過程を知ってたのか。
不思議です。

3. 天之御柱って何?

イザナギとイザナミ の結婚式の際に使われた天之御柱あめのみはしら
とにかく、神聖な柱です。

 

伊勢神宮にある心御柱しんのみはしらと呼ばれる柱があり、その柱は建築としての柱の役割はなく、神が宿る神聖な柱と言われており、天之御柱あめのみはしらが由来していると考えられます。

ただ、伊勢神宮の心御柱しんのみはしらは、ご神殿の中央の床下に埋め込まれている柱であり、一般の人が、実物を見ることは出来ない柱です。

ちなみに、伊勢神宮の古殿地には、 心御柱覆屋が残されており、その中に心御柱しんのみはしらがあるとも言われています。

伊勢神宮の心御柱覆屋

4. 最初の子ども ヒルコ

イザナギとイザナミから最初に生まれたヒルコ。
不完全な子どもとして、海に流されます。
これは、死産や流産のことを表しているとも考えられています。

 

そして、ヒルコは、のちにエビス様として、航海・漁の神様として祀られるようになります。
確かに、エビスを漢字で書くと蛭子エビスで、ヒルコの水蛭子ヒルコと非常に字面が似ています。

淡島あわしまも不完全な子どもとして古事記に書かれておりますが、海に流す記述はありません。
とは言え、ヒルコと同じ様に海に流されたと解釈されており、淡島あわしま祀るまつる神社も多数あります。

 

ヒルコと淡島については、まだまだ色んな逸話があるので、別の記事で紹介します。

5. 古事記ではプロポーズは男から

ヒルコと淡島、次々と生まれた子どもが不完全だったことは、女神であるイザナミからプロポーズしたのが原因と判明し、結婚式をやり直した後は、完全な子どもが次々と生まれました。
これは、当時の考えで男がリードしろ!との教訓だとされています。

 

また、神様でも、子どものことで悩み、分からないことがあるのだなと思うと人間が悩んだりするのは当たり前と思うと気楽になります。
しかも、イザナギとイザナミが相談した高天原の神も占いで決めるんかい!とツッコミたくなりますが、神でも神頼みするのは、古事記ならではのエピソードです。

 

イザナギとイザナミの二柱がそろって、高天原へ相談しに行く姿は、
「夫婦2人の悩みは、お互い力を合わせて一緒に乗り越えていけよ。」
と、教えてくれている様にも思えます。

 

最後、めっちゃイイこと言った。

 

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